奈良県の県域水道一体化を議論する懇談会の第4回が開催されました。
第3回と同様に第4回も、慎重な意見が大勢を占めました。
事務局からの説明ポイントはこんな感じ。
■人材面
奈良市150人の職員のうち、20人が企業団本部に従事。(つまり130人体制へと減る)
加えて、他市町村の欠員などの応援などが発生するのではないか。
■施設面
水源から緑ヶ丘浄水場への導水管(166億円)の複線化の開始を、早めることができる。
但し、バックアップ水源でもある木津浄水場は廃止。
■費用負担
料金統一した場合、奈良市は30年間で275億円、他都市の負担することとなる。
(奈良市民一人当たり、年間約3,000円)
■広域化の手法
さまざまな広域化の手法があるのに、一気に事業統合するのか。
セグメント会計というやり方もある。
これらについて、委員からの意見は…
( )内は筆者コメント
「導水管の複線化は必要なら、一体化せずとも可能と考える」
(確かに、30年間で275億円他都市分を負担するなら、166億円の導水管のほうが安いですよね)
「相互扶助という考えは美しい。しかし、相互扶助に賛成の市民と反対の市民との分断を生む。」
「市町村ごとの凸凹をだれがどう穴埋めするのか。企業団になると国の財政支援(国が補助する費用の一つ「高料金対策費」交付税措置)がなくなる」
「セグメント会計になると同じ効果と書かれると、セグメントの方向で進めよう、みたいな資料に見えるが、違いますよね?」
「セグメント会計は一体化の中のステップであり、ずっと続くとは限らない。企業団議会で奈良市は多数派でない。他市町村がNOと言えば、終わりだ」
「広域化の手法はいろいろあるのに、手法ごとのメリットなど比較を県が出していない。さまざまな選択肢を出すべき」
「ほとんどの市民が知らない。きちんと市民に説明をすべきだ」
「一体化に参加するかしないかの、2択をせまる県はおかしい。県への不信感が出てきた。」
「奈良市からいろいろ県に提案していると思うが、県の対応は?」
という質問に対し、仲川市長は
「県に提案しても、検討するという回答ももらえていない」との回答。
主だった委員のコメントはこんな感じで、慎重意見多数としか言いようがない状態でした。
なのに…本日8/4のNHKニュースでは、「一体化を進めるべきだ」という議論だとまとめられています。
【NHK奈良】水道事業一体化構想 仲川市長“県の負担増などあれば参加”
一部抜粋→懇談会の委員からは、この案も含めて、今後、一体化に向けた議論を進めるべきだという意見が相次ぎました。
懇談会のあと仲川市長は、「県の計画では奈良市だけ負担が増えることになる」などと述べたうえで、県の負担を増やしたり、事業の統合後、水道料金の移行期間を設けたりするなどの対応がとられるのであれば、構想に参加できるという考えを示しました。
動画で仲川市長は、
「今のプランのままでは、奈良市だけが非常に負担が大きくなる。どうすれば安定して安心できる水道を末永く続けていけるのか。公共サービスの一町一番地の議論をしている。」と言っています。
参加すると市長は言ってないのですが、本当に言ったのでしょうか?
懇談会での雰囲気と真逆ですが??
あの懇談会直後に、市長が参加できると言う気がしないのですが…。
傍聴したメンバーからも異論噴出。
NHK、どうしたのでしょうか。ナゾすぎます。
奈良市県域水道一体化取組事業懇談会の奈良市の資料などは,後日公開されます。
次回は8月31日を予定されており、2週間ほど前に、次回懇談会の時間・場所が奈良市HPに公開されます。