奈良の水道問題を考える市民フォーラム

奈良「県域水道一体化」で地元の浄水場がなくなる。5年に一度水道料金が上がる。一体化の後は民営化?奈良の水道の将来を考えるために個人・団体が集まり活動している市民団体「奈良の水道問題を考える市民フォーラム」のブログです。

2019年奈良県議会の意見書「水道コンセッションは付帯決議に基づき、厳格な審査を徹底するよう求める」

2018年に国が水道法を改正し、官民連携と広域化が全国で進められています。
水道法改正を受けて、2019年、奈良県議会は「本議会は政府に対し、附帯決議等に基づき、水道事業におけるコンセッション方式の厳格な審査を徹底することを強く要望します。」という意見書を可決しています。

県域水道一体化の基本計画でも「コンセッションや民営化は行わない」と明記されました。
【祝!】水道一体化の基本計画案に「コンセッションや民営化は行わない」と明記されました! - 奈良の水道問題を考える市民フォーラム

しかし知事も変わり、政府も新たなコンセッションにつながる「ウォーターPPP」を提案しています。
ウォーターPPPについて

 

改めて、県議会の意見書を確認したいと思います。

意見書第8号/奈良県公式ホームページ

奈良県  令和 元年 12月 定例会(第339回)  12月16日-06号

◆二十八番(猪奥美里) (登壇)意見書第八号、改正水道法の厳格な運用を求める意見書(案)につきましては、意見書案文の朗読をもって提案にかえさせていただきます。


△意見書第八号       
改正水道法の厳格な運用を求める意見書(案)

  改正水道法には、水道事業者等に施設の維持・修繕を行うことを義務付けるといった規定が盛り込まれています。水道管の老朽化によって破断が起きないよう、維持・修繕を行うことが求められており、必要な改正事項です。また、水道事業は主に市町村単位で経営されており、多くの事業が小規模で経営基盤が脆弱です。そのため、都道府県に水道事業者等の広域的な連携の推進役としての責務を規定し、都道府県が水道基盤強化計画を定めたり、広域的連携等推進協議会を設置できるようにする改正事項も必要不可欠です。
 一方で、改正水道法には、水道事業者があらかじめ厚生労働大臣の許可を受ければ公共施設等運営権を設定できるという規定が盛り込まれており、これにより水道事業において「コンセッション方式」の導入が可能となりました。

この法律では、この方式の下での災害時の責任の所在や役割分担について明確に定められていません。災害が発生して断水が起きた場合などに、適切な対応が取られなくなるおそれがあります。

また、この方式では運営のほぼ全てを民間企業が担うことになるため、水道運営の知識や経験が地方自治体に蓄積されなくなります。地方自治体にノウハウがなくなって、災害時に対応できなくなるのではないかという疑念を払拭できません。他にも、水道料金が高騰するのではないか、水質が悪化するのではないか等、様々なことが懸念されています。
 諸外国では、コンセッション方式で失敗し、再公営化する事例が相次いでいます。世界の潮流に反する法改正であると言わざるを得ません。

 国会の審議では、政府に対し、コンセッション方式の許可の際に民間企業の運営状況をモニタリングするための適切な体制確保について厳格な審査を行うこと等を求める厳しい附帯決議が付けられています。

 よって、本議会は政府に対し、附帯決議等に基づき、水道事業におけるコンセッション方式の厳格な審査を徹底することを強く要望します。

 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。      

令和元年十二月十六日         奈良県議会  

何とぞ議員各位のご賛同を賜りますようにお願い申し上げます。

○議長(粒谷友示) 九番浦西敦史議員。

◆九番(浦西敦史) ただいま猪奥美里議員から提案されました意見書第八号、改正水道法の厳格な運用を求める意見書(案)に賛成します。

○議長(粒谷友示) 十二番西川均議員。

◆十二番(西川均) ただいま猪奥美里議員から提案されました意見書第八号、改正水道法の厳格な運用を求める意見書(案)に賛成します。

○議長(粒谷友示) ただいまの動議は正規の賛成があって、成立しました。  よって、直ちに議題とします。  お諮りします。  意見書第八号については、二十八番猪奥美里議員の動議のとおり決することにご異議ありませんか。      
(「異議なし」の声起こる)  

ご異議がないものと認め、さように決し、会議規則第四十一条の二の規定により措置することにします。

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議事録抜粋ここまで

「国会の審議では、政府に対し、コンセッション方式の許可の際に民間企業の運営状況をモニタリングするための適切な体制確保について厳格な審査を行うこと等を求める厳しい附帯決議をつけている…」という付帯決議はこれ ↓ です。

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   水道法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

一 水道の基盤強化においては、水道の高い公共性に鑑み、水が国民共有の貴重な財産であることを再認識しつつ、水が健全に循環し、そのもたらす恵沢を将来にわたり享受できることが確保されることを理念として、国、地方公共団体及び水道事業者等の相互の連携を深めること。

二 大規模災害の発生に備え、管路の老朽化への対応及び耐震化の推進等水道施設の整備に万全を期すとともに、施設整備の体制を支える人員及び予算が十分に確保されるよう努めること。また、災害時における速やかな復旧を図るための組織体制、災害対応システム等が十分に整備・運用されるよう、必要な措置を講ずること。

三 水道の基盤強化を図るために、水道事業に携わる人材の確保、技術の継承及び労働環境の改善が必要であることに鑑み、地方公共団体がこれらを実現するために必要な支援を行うこと。特に官民連携を行うに当たって、この点が重要となることを十分認識し、事業運営に支障を来すことのないよう、総合的な施策を講ずること。

四 経営基盤が脆弱な小規模の水道事業者に対しては、水道の基盤強化の基本的かつ総合的な施策の推進において十分配慮するとともに、必要な支援を行うこと。

五 水道施設運営権の設定については、水及び水道施設が国民共有の貴重な財産であることに鑑み、公共性及び持続性に十分留意したものとなるよう、地方公共団体において検討すべき事項の具体的な指針を本法施行までに明示すること。

六 水道施設運営権の設定の許可に当たっては、地方公共団体においてその運営状況をモニタリングするための適切な体制が確保されているかについて厳格に審査を行うとともに、運営における公共性・公平性・公益性の確保を明確にするための具体的な指標等を示すこと。

七 水道施設の維持管理、修繕及び計画的な更新が、地域の健康資本の基盤として極めて重要であることに鑑み、これらの措置が適切に行われるよう、必要な支援を含めた包括的水道事業システムの構築に努めること。

八 水道の需給バランスの平準化を進める観点等から、水道スマートメーターを含む周辺機器の研究及び開発を促進するため、必要な措置を講ずること。

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付帯決議ここまで