奈良の水道問題を考える市民フォーラム

奈良「県域水道一体化」で地元の浄水場がなくなる。5年に一度水道料金が上がる。一体化の後は民営化?奈良の水道の将来を考えるために個人・団体が集まり活動している市民団体「奈良の水道問題を考える市民フォーラム」のブログです。

え~っ!「100年ブランドの奈良市水道」がなくなるの?!~代表のあいさつ~

2022年4月開催されたシンポジウム時の「奈良の水道問題を考える市民フォーラム」代表 八木の挨拶をご紹介いたします。

 

え~っ!「100年ブランドの奈良市水道」がなくなるの?!
~県域水道一体化は水道料金値上げと民営化への道~

今日は奈良市の水道問題を考える講演・学習集会に、日曜日の朝からお集まりいただいてありがとうございます。市議さんにも多数ご出席いただき、ありがとうございます。


思えば奈良市の水道事業は大正時代に始まり、今年でちょうど百年を迎えています。

 

それで先日2月堂の北東の山林にある創業期の旧配水池施設を観に行ってきました。堂々たるコンクリート建築物だったです。

今でこそ水道の蛇口さえ捻れば清浄な水が出てくるものと普通奈良市民は考えていますが、そんな風になるには先人たちの大変な苦労と努力があったものと思われます。先人たちに深く感謝します。

またそうした努力はただに奈良の人たちにとどまらず、布目ダムのように水源地の山添村の人たちの犠牲や森林保全とクリーン活動による水質保全にもよってきたのだということにも深く感謝したいと思います。

 

奈良市の主たる浄水場は、市街地の東北の奥の高台にある緑が丘浄水場ですが、昨夏にそこの職員さんから伺った話では、源水の水質がいいので薬品処理がいらないことと、立地がいいので奈良市の隅々まで動力を使わないで自然導水で安価に水を送れるという特徴を誇らしげに語っておられました。浅野さんに言わせれば100年の水道ブランドです。


 このような奈良市の水道事業がいきなり奈良市政と奈良市民の手から取り上げられ、企業団とかいう基礎自治体の上に立つ県の特別な事業体に移され、市行政や市民の目と

手の届かないところにいってしまう。いわば住民の命に関わる水が住民自治の関与できない遠くに行ってしまう、そういう垂直的統合としての奈良県域水道一体化に、多くの市民は大いなる危うさを感じています。市民の信頼と愛着を得てきた奈良市水道がなくなってしまう・・・?!


しかもこれは2018年の水道法改正が道筋を開いた広域化と民営化の線に沿ったものであり、広域化は次には民営化とつながってるのでは?という危惧を多数の市民が抱いています。実際、両者は命の保障と住民自治ではなく、営利第一という発想では共通しています。


 それに加えて大滝ダムの問題など、県水道の様々な失政のつけや構造的赤字経営エリアの埋め合わせの負担が奈良市に負わせられて水道料金の値上げをもたらすのではという問題です。

2006年以来一度も値上げなしに健全経営を誇ってきた奈良市水道が、県域一体化によって5年ごとに見直され、値上げが推進されていくということです。

 

また浄水場の削減が災害時の対応を脆弱なものにして和歌山のような断水をもたらすのでは・・・と様々な疑問と危惧が寄せられています。

なぜ自治体・住民間での熟議が重ねられないで、県は垂直統合を急ぐのかとの不信が広がっています。


 こういう時に県と市との間での考えや事実認識の相違が露わとなり、亀裂が生み出されています。3月市議会でも大きな論点になり、市議の関心も高まっています。それは今日の集まりへのご出席を市議の各会派にお願いで回った時も痛感しました。

 

3会派が反対を明言され、迷っていると率直に吐露された会派もありました。県と市の亀裂が報道されて市民の関心も盛り上がってきています。

水道事業についてこんなにも関心をよせ、考え、議論するということは過去そんなになかったことではないでしょうか。

 

今こそ、命の水を市政と住民の手で守り、住民自身の問題として関わっていくそういう時ではないでしょうか。住民自治としての水道自治を守り育てる、そのための出発点として、本日の学習集会を位置づけたいと思います。


 県域水道一体化の動きは、2022年11月の協議会で企業団設立のための基本計画協定案が決められ、2023年3月の各市町村議会での議決を経て法定協議会へと移行し、2023年度中に企業団を設立するという道筋と表明されています。

 

奈良市長はこの2022年11月までに市としての態度を決めると言っています。

この11月までが決定的なヤマ場となります。

 

この時までに私たちは市民と市議会の多数意志を創っていくことが求められます。そのためにどうしていくか。私は訴えます。

 

署名をさらに大規模に広げると同時に、奈良市の各地域で市民と市議との学習懇談会を繰り広げようと。各公民館単位で地域の人たちが集まり、地元の市議さんたちをお呼びして、膝を交えて、お互いに報告し合い、意見を言い合い、学び合い、議論し合う、そういうものが渦のように広がっていけば、それは市長や市議会を動かし、市政を動かしていく力になるでしょう。

 

それこそが県の垂直的広域統合とは対極の、水道自治の姿だと言えるでしょう。どうか皆さん、頑張りましょう。

 

(2022年3月8日奈良市議会傍聴後の市役所前昼休み市民集会の様子)